2007年2日22日

「Thank you for making me feel home」

ベルン公演が、1時間前に終わった。
ベルンに来るのは、3回目。
今回、ここで、3ヶ月におけるさなぎ期間から、やっと待望の羽化ができた。
さなぎ期間は、今までも何度も経験しているけれど、
それにぶつかる度、私は、いらだちと共に興奮を覚える。
これを乗り越えたら、また弾いた事のない事が弾けるからだ。
壁が来る度に思う。
「かかってこい、I am ready to fight。」
今回も、ベルンで、自分で弾いた事のない世界がたくさん見えた。
だから、壁はやめられない。どんどんかかってきてほしいものである。
言ってみれば、私は、壁マニアなのだ。
2年前、初めてこの街に来た時の事は忘れない。
ここのクラブの年齢層は、非常に高く、
おじいちゃんおばあちゃんの寄合所のような役目も果たしている。
みんな、いわゆる伝統的なジャズを聞く予定で、この場所にやってくる。
そんな場所で3年前、
ピアノの上に、変な赤いものを乗せて演奏する輩がいる。
でも、その時感じたのは、否定や拒絶ではなかった。
いきなり訪問販売が来て、何やら無理矢理買わせられたが、
使ってみたら、なかなかいいじゃないの、コレ、という感じであった。
開いた口が塞がらないおじいちゃんや、
なんだかわからないけど、顔が紅潮しているおばあちゃん。
いつの間にか頭をブンブン振っているおじさんが溢れていた。
当時、私の事を知っている人は、ベルンにひとりくらいしかいなくて、
50%入れば上出来、という感じだった。
そして、今回。ベルンに到着して、驚きのニュースを聞いた。
「1週間、ファーストセットは全部ソールドアウトしてます。
セカンドも当日で、ソールドアウトになるね。」
とクラブの人に告げられたのだ。
開演時間になると、お客さんが、叫びだす。
若い人だけではなくてだ。
おじいちゃんおばあちゃん、おじさんおばさんが、である。
演奏が終わった頃には、会場全体の火照り具合がすごいのだ。
リピーターが驚く程多い。週に2-3回、同じ顔を見る。毎日来る人もいる。
同じ人を同じ曲で喜ばせるという使命で、ハードルも高くなる。
でも、そんな緊張感が、また自分を奮い立たす。
「孫と一緒に来れるコンサートがあるとは思わなかった」と言うおじいちゃん。
「息子と最近会話をしなくなってたんだけど、ひろみの事を話すと盛り上がるから、
息子とまた仲良くなれたのよ。ありがとう!」というおばさん。
「この1週間は、私にとって、1年で一度のビッグイベントなんだよ。
これを楽しみに、また1年頑張れるんだよ。
私のミュージックエンジェルがまた舞い降りてくるのを待ってるんだよ」
というおじさん。
幸せだなぁ・・・。
心が毎日うれし泣き。
人の笑顔を見て、泣ける。
これ以上の毎日があるだろうか。
ベルンのクラブはスマイルだらけだった。
みんな、今年も待ってたよ!ってにこにこ見守るスマイルだった。
初めて海外で「ただいま」と思えた事が、うれしくてならなかった。
そんな時、MCで自然に出た言葉。
「Thank you for making me feel home」
やっぱりそうだ。
開かないドアはない。
希望から、確信に変わった瞬間だった。
そして、旅は続く。大好きな笑顔を探して。

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