2004年12日20日

「ノード君ピンチ」

2004年の、全てのギグが昨日終了しました。
今は、スイスのチューリッヒ空港。
さすがに、1年分の疲れが出たのか、体が重い。
そして、やっぱりこういう時に限って、空港は雪。
飛行機は遅れて、待ちぼうけ。
早く帰って、休みたい所なのに、なかなかうまくは行きません。

1年のしめくくりのライブは、スイスの首都ベルンでの一週間でした。
これといってトラブルもなく、いつになく順調だったスイス公演。
事件は、最終公演の前の日に起きました。

私は、キーボードの(ノードリードという種類で、愛称ノード君)変電気をホテルに忘れ、クラブに到着してから、クラブで変電気を探さないといけない始末になりました。
変電気っぽいものがあったので、よし!と思い、プラグイン。
ここポイントです。
絶対「ぽい」ものを使ってはいけません。

ブチッ。

一瞬電気の付いたノード君でしたが、それからビクともしません。
トニーに「あれ、電気が一瞬着いたのに、消えちゃった」と言ったら、「え!?」と驚愕の表情。
「まさか、コンバーターじゃなくて、アダプター使ったんじゃないの?」
(コンバーターというのは、変電気。アダプターというのは、ただのプラグです)
私「え・・・・」
トニー「それ、壊れたと思う」
私「え・・・・」
トニー「前、同じ事して、ギターのエフェクトを全部壊した人知ってる。」
私「え・・・・」
トニー「だって、120Vの所に、240Vの電流が流れたんだよ。二倍だよ。二倍。」

パニックです。

私「嘘だー、そんな簡単に壊れないよ。楽器だよ。」
トニー「電気機器なんて、そんなもんだよ」
ここでマーティン登場。
マーティン「どうしたの?」
私「間違えてアダプターに接続して、一瞬電気が着いたと思ったら、消えてそれから動かないの」
マーティン「あー、死んだな。」
私「えー!?」
マーティン「俺、買ったばっかのスピーカーを壊したもん。一瞬でゴミよ、ゴミ。」
私「えー!?」
ここで、マーティンらしい最後の一撃です。
マーティン「それ、もうゴミだよ、ゴミ」

涙。

結局その後、何度も試したのですが、息を吹き返す事はありませんでした。
その日は、結局ピアノだけで乗り切らなくてはいけなくなり、アレンジを本番5分前にいろいろ変えました。
もちろん、カンフーなんかは出来ませんでしたが、何も知らないお客さんは、総立ちになって、喜んでくれました。
私としては、なんとも、満たされない気持ちでいっぱいでした。

クラブの人に相談した所「明日は、土曜日だし、ノード君を輸入している会社も、営業していないはずだから、もうアメリカに帰って、なんとかするしかないだろう」
えー!明日、もう一公演あるのに、ここであきらめるのは、嫌です。
そこで、私に舞い降りてきた、アメージングアイデア!
「そうだ!時差を使うんだ!今アメリカに電話すれば、まだ金曜の営業時間のはず。」
というわけで、アメリカのノード君輸入会社に電話。
(ノード君はスウェーデン生まれ)
電話しました。係の人に話したら、
「あー、ダメだね。アメリカに持って帰って、なんとかしてよ。」

涙。

でも、ここでアメリカで5年生活してきて、得た知恵登場です。
アメリカでは、金曜日の営業終了時間ギリギリに電話しても、もうアフター5の事で頭がいっぱいで、仕事をおざなりにする人が多い!
今まで、何度これで痛い目にあった事か!

こうなったら、日本だ。日本のノード君輸入会社だ!
日本だったら、土曜日でもきっと仕事をしてたりするはず・・・。
テュルルルル・・・。テュルルルル・・・。
「もしもし」
ビンゴー!!!

さすが、勤労大国日本!
ビバ日本!
すみません。ノードリードの担当の方はいらっしゃいますか?」
事情を説明し、直る可能性について、質問。
「あー、ヒューズが飛んでいるだけの可能性はあります。
ここをマイナスドライバーで開けて、ヒューズを交換してみてください。」
とっても親切な対応。ほんと、日本っていい国だなぁ・・・。

次の日、朝一番で、街に出かけます。
ノード君を持って、まず電気屋さんへ。
「あー、うちにはヒューズはないよ。ここのお店へ行って」
次の電気屋で。
「あー。うちもヒューズはないなぁ。ここなら工具専門だから、あるかもね」
次の電気屋で。
「ヒューズ?あー、このサイズはちょっと特別だねぇ。うちにはないよ」
もう、くたくたです。お店を探すのだけでも、周りはみんなドイツ語だし。
ノード君は、小さいのですが、こっそり重いのです。20キロくらい。

それで、近くにあった楽器屋へ。
「あー、ちょうど今その種のヒューズ、切らしちゃってるんだよー」
くたくたになった私を見た楽器屋のおじさんは、
「楽器を置いて、ヒューズだけ買いにいって、ここで試したら?」
と提案してくれました。
そして、ヒューズを買える電気屋さんを教えてくれます。
到着。
「あー、これは、ちょっとサイズが大きいな、うちにはないよ。
でも角を曲がった電気屋さんにあるかもしれないよ」
またか・・・。もうブーイングもいいとこです。
秘密アイテムを探すロールプレイングゲームのようです。

そこで最後にたどりついた小さな電気屋さん。
初老の男性3人がお店をやっていました。
見た事もないような、マニアックな電気部品がそろっていたので、これはイケる!と思い、最後の希望を託しました。
「ちょっと待ってね。」
待つ事10分。この間、世の中に存在する全ての神様仏様にお祈りをしました。

出たー!!!

ありました。ヒューズ!見つかりました。
そして、クレジットカードで払おうとしたその瞬間、
「うち、カードは使えないよ。」
えーーー!!
なんせ、最終日だったので、
現金なんて一銭も持っていませんでした。
「だって、カードにかかる手数料の方が、ヒューズより高いんだもの。
これ、100円だよ。100円」
「・・・・・。」
せっかく辿り着いたのに。
うなだれていたら、

「よし、いいよ。あげるよ。」

おじさん最高。アイラブユー。
いつか、この100円を返しに行く事を誓い、お店を出ます。
楽器店に戻り、ヒューズの交換をし、「変電気」を使い、プラグイン。

動いたーーーーーーー!!!!(歓喜)
「YOU SAVED MY LIFE!!」(叫び)
狂喜乱舞。
いやー、長かった。ネバーギブアップです。
もう、ベルンの電気屋さんのことならおまかせを。(笑)

その夜のノード君は絶好調、2004年を締めくくるのに
ふさわしいライブとなりました。
人の優しさに触れ、生き返ったノード君。
ノードリード担当の芦沢さん、ありがとう。
一生、この恩は忘れません。
あの時、芦沢さんの親切なアドバイスがあったからこそ、ノード君は、無事息を吹き返す事ができました。
ありがとうございました。
楽器屋のおじさん、ヒューズをくれた電気屋さんのおじさん。
みんな、ありがとう。

人に支えられて、音楽をやれている事を、再確認した、2004年最後のツアーでした。
2005年も、人への感謝の気持ちを忘れず、一生懸命がんばりたいと思います。

Merry Christmas & A Happy New Year!!

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